アパレル不況の中、2018年に設立した勢いのあるブランドKEY MEMORY。 代表の鈴木が考える、現代ファッションとは。

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鈴木 一平(スズキ イッペイ)/ 株式会社KEYMEMORY 代表取締役 : 1993年生まれ、明治学院大学経済学部卒。卒業後、(株) Jフロントリテイリング(大丸松坂屋百貨店)に入社。グロービス経営大学院大学にてMBAを学んだ後、2018年に大学の友人と株式会社KEY MEMORYを設立。

2017年からオンラインSPAブランドとしてスタートした鎌倉生まれのブランド「KEY MEMORY」。今年4月、鎌倉市長谷に直営店をオープンさせ、売上は昨年の2倍。20代~50代まで幅広い年齢層に人気があり、2018年勢いのある日本のファッションブランドの一つだ。

――― KEY MEMORYについてお聞かせください。

鈴木:KEY MEMORYは“思い出”をコンセプトにしたブランドです。自分の持っている洋服1着1着を、いつどこで誰と買ったかを覚えている方は少ないと思いますが、洗濯をする時、タンスを開けた時、KEY MEMORYで買った洋服を見て、買った時のことを少しでも思い出して欲しいと願って生産・販売しています。

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――― 珍しいと思っていましたが、その仕掛けがこの“MEMORY STAMP”ですか?

鈴木:はい。お客様が店舗で買っていただいた商品に、その日の日付を印刷するサービスを行っています。KEY MEMORYの服を着るたび、手に取るたび、この日付の数字を見ることで、その日のことを頭に描いてほしいと思っています。

――― とても素敵なサービスだと思います。購入される方はどういったお客様が多いですか?

鈴木:店舗に来られるお客様は、20代~50代と幅広いですね。そのうち50%は日本人観光客、35%はリピーターのお客様、15%は外国人観光客の方です。最近は鎌倉のお土産として買われる方も増えてきました。ECに関しては、主用SNSがインスタグラムだということもあり、20代~30代の方が多いですかね。

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――― ニュース系ウェブサイトで「アパレルの危機」的な記事を多く見かけるようになりましたが、鈴木さんは2018年に創業しています。不安はありませんでしたか?

鈴木:もちろん不安はありましたよ~!でも、アパレル不況だからこそ今のKEY MEMORYがあります。服が売れていないこの時代に、新しくアパレル会社を設立するなら、既存のアパレルブランドとは異なった生産方法・販売方法・プロモーションをしなければならないと考えていましたし、他ブランドとの差別化もも課題です。その為、直営店のKEY MEMORY KAMAKURA STOREには、行動心理学とマーケティングを応用したアイデアを沢山仕掛けています。恐らく、何もしなくても服が売れる時代であれば、そこまで試行錯誤することはなかったかもしれませんね。

―――「服が売れない」という業界内の声はどう聞いていますか?

鈴木:今、大手アパレルメーカーやセレクト系会社にいる人は、昔、「接客しなくても服がめちゃくちゃ売れた」時代を知っているのでそう思うのかもしれませんね。自分はアパレル不況時代からの起業なので、「たいして売れない」前提でのスタートでした。だから、「売れなくなった」という感覚はまったくなくて、逆説的ですが「接客しないと売れない」時代で良かったかもしれません。不況のときにできたアパレルブランドは強く、プロダクトアウト型の営業がしっかりできて、底力がつくので、タイミングも良かったと思います。

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――― 「若者のファッション離れ」などと言われていますが、現在26歳の鈴木さんから見た、現代の若者のファッションについてはどうお考えですか?

鈴木:一言でいうと、「目立ちすぎない安心感の中で個性を競っている」と思います。ものすごく目立った格好をする人は、いなくなりましたね。今の若者たちは目立つことへの恐怖心が強く、みんなと同じファッションをするという安心感を求める傾向があると思います。だから、手っ取り早く無難に今風の格好ができるファストファッションに向かうのです。ただ、だからといってファッションに興味がなくなったということは、全くありません。むしろ、おしゃれに対する関心は高い。今シーズンの流行りの色や形を知っている方は多いです。その中でちょっとずつずらすということをしていく。今のファッションは「量産型」などといわれますが、流行に乗っている安心感を保ちつつ、個々に見ると実はちゃんと差別化されているわけです。ある意味、昔よりずっと繊細でハイレベルになっていますかね。

――― さらに現代の若者のファッションとSNSは切っても切れない縁になりましたね。

鈴木:そうですね。さらに今は、服だけでなく自分の身体やインテリアまで、全てがファッションとしてトータルコーディネートされるような時代。昔からニーズはあったと思いますが、今はさまざまな情報やモノがそろったので消費者が選択できるようになりました。ただし、今度は選択肢があまりにも多過ぎて、自分が選んだものが正しいかどうか自信が持てなくなってしまってい、不安感や不完全感は、募っていると思います。自分を過小評価してしまい、選んだものが受け入れられているか否かをすごく気にしています。だから、SNSで「いいね!」が欲しい。現代の若者は、服や髪型を褒めるとものすごく喜ぶのですが、それも不安の裏返しでしょう。傷つくことを恐がっているので、店頭で接客する際も、それで大丈夫なんだと背中を押してあげる必要がありますね。

――― ありがとうございました。最後にKEY MEMORYのこれからの目標を教えてください。

鈴木:近々の目標は直営店舗の数を増やすことです。少しずつ増やしていければと思います。ただ、場所はあくまでコンセプトに重点を置いているので、東京都内はあえて外していく予定です。

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KEY MEMORY KAMAKURA STORE

〒248-0016 神奈川県鎌倉市長谷2-15-7

TEL:0467-91-0719

オンラインショップ https://keymemory.co.jp/

 

取材・文 滝本広子

撮影 後藤一輝

 

 

 

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